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社長の役員報酬と家計を見直す

高額の役員報酬を設定するメリット

 

事業再生に取り組む社長は、ご自身の役員報酬をしっかりと見直しましょう。

「税理士の先生に利益が出なくても役員報酬は取っておいた方が良い」とアドバイスされました。

と、何年前にされたかわからない税理士の助言を守っている社長がいます。

 

確かに、役員報酬額が高いと、将来的には年金の受給額も多くなりますし、

役員退職金の算定基準額も高くなります。

また、会社に現金が無くて支払いが受けられなかった分は、“役員借入金”として、

会社に貸しているという処理をすることになります。

 

会社に貸している訳ですから、会社から金利収入が得られます。

将来的に役員借入金の返済を受ければ所得税がかからない。

 

(既に所得税を支払済みのため)会社に貸している役員借入金が増えると、

それを株式に転換するDES(デット・エクイティ・スワップ)に使うことにより、

資本金を増やすことができ、過小資本に悩みがちな中小企業の社長の悩みを解決する方法も採れます。

 

・役員報酬がたくさんもらえて幸せ。

・年金が保証されて幸せ。

・税特典の多い役員退職金がたくさんもらえて幸せ。

・会社に貸して、役員借入金から金利がもらえて幸せ。

・役員借入金の返済を受ければ、所得税のかからないお金がもらえる。

・DESにより資本金を大きくすることができて幸せ。

と6重の意味でメリットがあります。

 

役員報酬が高額過ぎて支払えないときのデメリット

 

このように良いことずくめのようですが、

会社が好調の時は良いのですが、会社が不調に陥ると逆回転を始めます。

 

社員の給料支払いもやっとこなせたぐらいでギリギリの資金繰り、

社長の自分の給料は業者支払いに充てなければいけないから到底もらえそうにないな。

給料もらえてないのに、所得税、住民税、社会保険料は高いまま。

延滞したら、サラ金並みの14.6%の利息がかかります。

 

60才を超えたのにまだ年金もらえてないな。給料が高いともらえないんだ。

仕事が忙しく、疲れて病に倒れました。

※高所得者の医療費負担は高くしようという相談を政府はしています、

いずれ負担が大きくなるでしょう。

 

社長は、

 ・未払役員報酬の苦しみ

 ・租税公課延滞の苦しみ

 ・年金が減額になる苦しみ

 ・医療費負担の苦しみ(※将来導入の可能性大) 

の4重の苦しみによって亡くなられました。

 

これで終わりかと思いきや、

社長が会社に貸し付けたことになっている役員借入金は、

相続時には資産として課税対象となります。

 

相続放棄をするのであれば構いませんが、

相続するのであれば、業績の悪い会社から、

回収見込みのない役員借入金を財産として相続します。

 

他の現預金等と同じく資産としてみられてしまいます。

結果として、相続時の基礎控除を無駄に食いつぶしてしまいます。

4重の苦しみの上、更に相続問題まで残すのです。

 


相続を回避する為に役員借入金を放棄する場合は、会社の利益となります。

会社の納税計画まで考慮しながら計画的に放棄する必要があります。

 

支給可能なレベルに役員報酬を合わせよう

粉飾の告白と金融機関の対応

 

数多くの会社と社長を見させていただきましたが、

支給できない金額の役員報酬を計上されて幸せになった社長と会社を知りません。

 

もらえる金額をもらうというのが幸せです。

分不相応、維持不可能な役員報酬は危険です。

一度上げた生活レベルを落とすことは容易ではありません。

 

奥様と家計については、しっかりと話すべきです。

 

家賃やローン支払い、

生活費、

教育費、

食費、

保険代、

いくら払っているか、社長は答えられますか?

 

「たくさん家計に入れているのだから任せている」では通用しません。

 

いざ、役員報酬を下げようとしても

家計の出費が大きく下げるに下げられないと言ったケースもあります。

 

また、所得税は前年の所得に応じて課税されるため、

急に報酬を下げても税金は取られます。

社会保険料も給料を減額し届け出ても反映までに数ヶ月掛かります。

 

事業再生をはじめるに当たっては、まずは“隗よりはじめよ”です。

社長の役員報酬を下げるからこそ、銀行もリスケジュールに納得します。

場合によっては社員も賃下げに応じます。

 

社長の本気の覚悟で回りを巻き込むことから事業再生は始まります。

役員報酬の見直しは年1回、決算月より三ヶ月以内が原則です。

減額の変更の場合は、随時変更が認められケースもあります。

 

顧問税理士の先生とご相談下さい。

 

中小企業の社長は好き放題にできる

 

前述の役員報酬アップについては、税務上の制限がありますが、

中小企業はオーナーシップ(株主権)を代表取締役がもっているケースが大半です。

その為、自身のへの役員報酬も語弊を恐れずに言えば自由に決められます。

(株主総会で報酬総額を決定し、取締役会で配分を決めるのが一般的なルールです)

 

であれば役員報酬を思い切って下げて、

また翌期以降に経営が良くなれば思いっきり上げても良いのです。

「また儲けたら良いんですよね」という思いっきりの良い社長は再生するのを見てきました。

 

1回手放しても、己の才覚を信じ、何度でも手に入れたら良いのです。

1度手放すと2度と手に入らないと思い込むから固執してしまいます。

そんなことはありません。

地位も名誉も財産も何度でも社長の才覚で手に入れることができます。

 

社長として一生懸命働くことができた方です、何度でも再起したらよいのです。

ゼロからなら何度スタートしても成功できるという

気力と情熱が経営者には必要だと私は思います。

 

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