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事業再生における家族会議

まず家族会議から経営改善に着手する!

 

事業再生に取り組む上で、まず最初におススメしたいのは『家族会議』です。

 

事業再生には、様々な方法論があります。

多くの専門家がそれぞれの立場で、これから事業再生へ挑む社長に対して、

それぞれベストだと信じる方法をおススメします。

 

私もコンサルタントとして、

最善のソリューションをご提供したいと、

常日頃よりスキーム立案を致しますが、

社長にはそういったスキーム以上に重要な仕事があると私は思うのです。

 

それが『家族会議』です。

 

家族と一緒に社長と会社、社長の人生、家族の人生設計について

大いに語り合ってみませんか?

 

事業再生の経験の多い私も『家族会議』を開いて、事業再生を決断されたという社長は皆無です。

だからこそオススメしたい。私が『家族会議』をオススメして『家族会議』を開いたことは多々あります。

 

家族会議のたとえ話

 

ではなぜ、『家族会議』なんでしょうか。

 

例え話をしてみましょう。

 

社長は喉頭ガンになり、余命1年です。

手術をすれば声が出なくなりますが、完治する可能性があります。

ただし、転移する可能性もあり根治を約束するものではありません。

父「しゃべれなくなるくらいなら1年を思う存分生きて死にたい」

 

母「あんた何馬鹿なこと言ってるの、手術して1年でも多く生きて」(真逆の価値観)

 

息子「しゃべれなくなったって、筆談やパソコンがあるじゃないか」(新たな方向性)

 

娘「新薬が研究されているという話もあるみたいよ。あきらめるのは早いわ」(将来への希望)

 

これを事業再生の話にしてみましょう。

 

社長の会社は持ってあと1年、資金繰りがもたない。

今商売をたためば、取引先への迷惑は最低限で済みそうです。

しかし、商売をたたんだ後に、どのように生活を成り立たせればよいか不安です。

 

社長 「銀行もお金を貸してくれない、商売の調子も悪いし破産を考えている。」

 

母  「最後まで頑張ってみなさいよ。ダメだったら私のへそくりで1年くらい

   あんたのメシ代くらい出して上げますよ。」(真逆の価値観)

息子 「親父はプライドが高いから、銀行へリスケジュールをお願いしに行くこともできないんだ。

   頭を下げて返済の見直しをしてもらえば1年以上商売が続けられるよ。」(新たな方向性)

娘  「取引先の社長が、ジョイントベンチャーで新しくできるショッピングモールに出店しないかと

   言ってるわ。うちだけじゃ費用が出ないけど2社で力を合わせて、商品力や資本力を補完すれば

   まだ新しい手だって打てるわ。」(将来への希望)

 

経営が行き詰まった社長は孤独な存在です。

創業時は、無尽蔵に湧いた発想の泉も枯渇してしまい、未来が遮られています。

家族の何気ないアドバイスは、問題解決の核心をつくことがあります。

家族以外に相談するのは大変なことです。

経営幹部ですら、「社長が悪くてこうなったんですよ」と社長を責める。

従業員に「月末資金ショートしそうだから給料を先延ばししてくれ」なんて本音は話せない。

銀行にも、「経営をあきらめてしまいそうです」なんて弱気な発言はできません。(債権回収されてしまう)

 

一人孤独に悩んで、弊社にご相談に見える方が多くいらっしゃいます。

弊社としては、豊富な実績から、貴社の現状に即した貴社だけの再生案を立案し、社長を応援致します。

弊社は社長の参謀役として、歴戦の財務部長として事業再生のためにありとあらゆる策で支援致します。

しかし、それは仕事においてパートナーとしての側面が強いです。

まず、弊社のアドバイスを元にご自身が決断できたなら、

家族への相談と事業再生の方針説明をしてみませんか?

家族には恥ずかしくて相談できないとおっしゃる社長も多いです。

ただ、ひとたび家を出て、会社に行けば従業員、取引先、銀行など、

全てが敵に見えるようでは、内憂外患もいいところ。

そんな状況から事業再生という一大事を成し遂げることは適いません。

まずは、家族くらい説得できないでどうするんですか。

家族も説得できないようでは、外にあふれる難題を

誠意と合理性を武器に解決していくというのは困難です。

 

家族と話し合うことで、課題が変わった

 

家族と向き合うことで思わぬ支援を得られた社長を私はたくさん知っています。

 

・実家を助けに帰ってくると、息子や娘が帰ってきた。

・家計にお金が入れられないほど行き詰まったが、息子が月々の住宅ローンを払ってくれた。

・これで最後と妻が虎の子の蓄えを出してくれた。

・家計を支えると専業主婦の妻が勤めに出てくれるようになった。

・自分たちにできることは、何かないかと考えてくれた。

・家に帰ると家族が優しく接してくれるようになった。

・離婚の危機が解消した。


逆に何にこだわっていたんだろうと身軽になった社長も知っています。

・「親父から引き継いだ会社はつぶせない!」と思っていたが実の父親がつぶしても良いと言った。

・  息子に絶対会社を継がせるんだ!と考えていたが、息子は「継ぐ気はない」と言った。

・「おまえたちを誰がくわせてるんだ!」と怒鳴ると、「身内から借金するくらいなら会社をたたんで
      勤めに行って」と言われた。

・  自己破産すると娘が嫁に行けないと気にかけていた。娘は「そんな小さい事、気にする男は選ばない」
     と笑った。

・「仕事が生き甲斐だから続けたい」と言ったら、もう年金で生活できるだし健康が心配だから
  商売を止めてと言われた。

 

こういう話だけでなく、現実はより厳しく、奥様、息子、娘

全てが連帯保証人に加わっている借入をしている会社もあります。

そういう状態では、コミュニケーションができなくなると終わりです。

 

連帯保証人同士がケンカをしあい、反目していると意志決定ができず、

守るも攻めるも、引くも進むも適わなくなります。

そういった末期的な社長は、家族には「とにかく俺の言う通りにやればいい」

と繰り返し、破産に向けてひた走るしかありません。

 

家族を事業再生のエネルギーにする

 

さて、『家族会議』してみたくなりましたでしょうか?

 

私は、家族経営が肝になる中堅中小企業の事業再生には必須な要素だと思います。

会議室ではなく、居間や、こたつ、台所で固まる絆がそこにはあります。

その絆が事業再生を実現する真の原動力となります。

人は必ず死にます。自分の人生と会社の経営の寿命は必ずしも一致しません。

相続も含めて、自分の会社をどのように家族へバトンをつなぐかも重要なテーマです。

 

事業再生という困難を乗り越える方法は1つではありません。

家族会議の中で乗り越える方法、方策が変わることも多いです。

私でよろしければいつでもお手伝いをさせて頂きます。

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