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マイナス金利の政策意図を実現の為へ 『赤字の中小にも成長融資を』

Photo by oza

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2016/2/18の日経新聞に衝撃的なニュースが走りました。
『赤字の中小にも成長融資を 金融庁「目利き力生かして」 地銀、要請に戸惑い』

以下に、要約引用すると、

・「一時的に赤字や債務超過に陥った経営難の中小企業にも成長融資を」
・マイナス金利政策を受け、全国の地方銀行に要請
・「事業を見る目利き力を生かせば不良債権にならない」と融資拡大を後押し
・念頭に置くのは財務力の弱い「要注意先」と呼ばれる取引先
・要注意先は02年に約80兆円近くあったが15年9月末で30兆円強まで減った。
・「短期継続融資」と呼ぶ運転資金向けの融資を提案
・数カ月おきに銀行が事業内容をよく精査し、短期間で融資をつないでいく方法
地銀側は戸惑いを隠せない。
不良債権化するリスクが比較的高いうえ、短期間で煩雑な審査が必要

との内容です。
既に弊社のブログで申し上げた

『マイナス金利のインパクト 中小企業の資金調達が変わる』

・金融機関には逃げ道のない信用創造が求められています。

・銀行には新規の貸出先がありません。

・貸出先を求めて既存融資先である
 リスケ会社への融資も真剣に検討しなくてはならなくなります。

がまさに動き出したのがこのニュースです。

一時的な赤字や債務超過でも、“目利き力”を活かして貸したら良い
とのことで、これも既に金融検査マニュアルでは想定済みの事態です。

小口の融資先へのリスクについては、
金融機関が独自に判断すれば良いと既にされています。

この記事にあるように、要注意先の灰色再建が30兆円まで
減っており金融リスクが管理されているとの認識からです。

金融システムの破綻リスクがなければ、
個別のリスクは挑戦すれば良いと金融庁は考えていると言うことでしょう。
要は、不良債権処理問題以前の時代へ戻すということです。

当時は赤字法人であっても
「銀行が支えるといっているんだから潰れないんだ!」と
言っていた時代がありました。
確かに銀行が支えて潰れない会社が存在しました。
その時代は決して悪かったと鳥倉は思いません。

不良債権処理時代への突入は
“書き換えが継続している手形貸付”を
小泉竹中改革時代に不良債権として問題化した為でした。


既に、金融検査マニュアルでは


書き換えが継続している手形貸付であっても、いわゆる正常運転資金については、
そもそも債務者の支援を目的とした期限延長ではないことから、
貸出条件緩和債権には該当しないことに留意する。

として、いわゆる『手形のベタ貸し』と言われるものも解禁されています。

手形のベタ貸しを“貸し剥がし”たことから、
日本の中小企業は間接金融で支えられているとの神話が崩壊しました。

以後の長期不況は語るまでもなく、デフレ地獄で皆様ご承知の通りです。

今回のニュースから、
・企業を短期的に支えるファイナンスの復活
・資本性の強い貸金の再開(手形のロールオーバー)
等がおこるのではないかと思います。

マイナス金利政策に鳥倉は賛成ですが、
この政策が実効性を持つかは、
金融機関が民間企業に対して信用創造できるかに掛かっています。

まさにこのニュースは実効性を持たせるための挑戦が始まったことを象徴しています。

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