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事業再生と粉飾決算の話

1. 日本の多くの中小企業が粉飾決算をしている!?

日本の多くの中小企業が粉飾決算をしている!? 

裏付けデータは不明ですが、

よく「中小企業の4割~6割は粉飾決算をしている」などと言われます。

 

事業承継をしたら父親の会社が、

粉飾をしていた……なんて状況のあなたには

今回の内容は、挑戦のための勇気になるかもしれません。

 

私の実感では、粉飾というよりは、

 “社長の意図”の通りに決算できていない会社は

かなり高い割合であると感じます。

 

私は、「金融機関と社長のコミュニケーションをつなぐ」

という役割を意識して事業再生の現場に入ります。

 

社長の従来のやり方をなぞるだけなら、専門家としての意味はありません。

会社を信頼してもらうためにも、金融機関に対して嘘はつきません。

 

ただ、見解の分かれるところ、説明の必要なところを丁寧に説明して行きます。

解釈の違いで信頼関係にヒビが入るともったいないのからです

 

専門家として入った現場の会社が

会計上のトラブルを抱えているケースは多いですが、

鳥倉が入ることにより変革を促していきます。

 

2. 事業再生士としての金融機関への説明責任

事業再生士としての金融機関への説明責任

金融機関に対して説明責任を果たすために

必要に応じて調査をし、説明資料を作成して、

金融機関に理解してもらえるように説明します。

 

まずは、金融機関に「この会社は信用できる」と思ってもらう原点を作ります。

いわば会社が事業再生をするための“スタートライン”を鳥倉が作るのです。

粉飾決算が明確に見つかった場合でも、粉飾決算との説明は、

取引停止処分を含む致命傷に繋がる危険があります。

 

そのため、説明の仕方としては、

「不適切経理として、意図しない処理がされていた」として、

お詫びと訂正を行います。

 

人は「だまされた」と思うと攻撃的になりますから

金融機関に説明する際には細心の注意を払います。

 

他にも粉飾決算の言い換えとして、

 

  • ・会計実態と異なる決算
  • ・会計上の誤謬
  • ・社長の意図していない処理
  • ・永年の懸案が折り重なり
  • ・経理担当者とのコミュニケーション不足により

 

など事実に基づき最適な説明方法を検討します。

 

3. 粉飾の告白と金融機関の対応

粉飾の告白と金融機関の対応

私は事業再生に従事して17年目と長いですが、

粉飾の告白で失敗して顧問先をつぶしたことはありません。

 

原因究明→事態説明→再発防止策→人事処分案→会社再建案
をなるべく早期に書面にて情報開示し信頼回復に努めます。

 

粉飾決算は、金融機関も薄々気がついているケースも多く

 

  • ・すでに自己査定資料でマイナスしている
  • ・社長の内緒話を見透かしている

 

場合も多々あります。

 

金融機関が一番激怒するのは、

「粉飾により融資を引き出した」ことが明瞭なときです。

これは因果関係が明確に立証されれば犯罪となる事案です。

 

その場合、

早期事故(半年以内に融資先から返済を得られなくなる)に繋がることが多いため、

融資実行の担当者も厳しく処分されるなどの評価が下されます
相手の銀行員人生が係っており追求が激しくなることも多いです。

 

会社としては、最悪の事態を想定しながら真摯に対応する必要があります。

 

 

4. 事業再生が債権の極大回収に繋がることを信じてもらう

事業再生が債権の極大回収に繋がることを信じてもらう 

金融機関が粉飾を理由に激怒し、

会社が潰れるほど追い込みをかける……というケースはめずらしく、

私が承知している限りニュースになったのは1例だけです。

(もちろん鳥倉の案件ではありません)

 

なぜかというと、単純な話ではありますが、

「企業を潰しても債権回収はできない」からです。

 

金融機関としても、いかにして1円でも多く債権回収を果たし、

起きてしまった失敗に対してダメージコントロールを考えます。

 

当然かかるコストと、回収金額の兼ね合いを考えながら冷静に考えています。

 

ですので、粉飾決算は誠実に事態報告をし、

再発防止策と「現状からどのように会社を再建するのか」を併せて説明する必要があります。

その説明に一定の合理性があり、今現在会社を潰して債権を回収することより、

少しでも多くの金額を回収できる可能性を信じてもらえたのであれば、金融機関としても、回収の極大化(金融機関はこのように言います)を、

どのように達成するかを考えています。

そして、事業再生によってその可能性が高くなるのであれば、再建計画に最期の可能性をかけるものです。

 

例外としては、比較的企業規模が大きくコベナンツ(財務制限条項)が

ついている契約により借入をしている会社の場合などがあります。

コベナンツの抵触によって金融機関が、機械的に債権回収に動いてしまいその流れを止めることができず、結果として企業倒産に直結する場合もあります。

 

コベナンツの条件は、契約により様々です。

一般には、売上や利益に関する項目が多いですが、

粉飾決算は基本的に入っていますので、注意が必要です。

 

コロナ禍のような非常事態において、思わず不正に手を染めてしまった。

生き延びるためと、道を外してしまう経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

 

もし、まだ経営を諦めていない、復活の道を探していらっしゃるのであれば、

鳥倉までご相談下さい。

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