リスケジュール中にも投資が必要な3つの理由

 

リスケジュールとは、｢スケジュールを変更する｣・｢計画を変更する｣ことを意味する英語です

が、金融の世界では｢契約当初の返済スケジュールを変更する｣事により、｢元金返済の猶予｣・

｢一時的な返済緩和｣を意味する用語となっています。

 

金融機関にお願いして返済猶予を認めてもらう事により、資金繰りが破綻しそうな会社を延命し

て再建する。再建できた結果として、金融機関は返済を受け損失を軽減するという意味合いがあ

ります。

 

その為、延命できた会社の使命は会社を再建し、返済を従来の水準まで戻すことが至上命題とな

ります。そもそも、リスケジュールを認めてもらえなければ資金繰り破綻していたわけですから、

収益の全てを返済し、金融機関の信頼に応えようとするのは当たり前と言えば、当たり前な状況

下に会社はなっています。

 

しかし、私が申し上げたいのは、収益の全てを返済するとリスケジュールの道半ばで会社は倒産

しかねないという論点です。返済する為にも、投資が必要ではないかというのが私の提言です。

 

 

1.返済財源を増やすためには投資による収益拡大が必要

 

当たり前ですが金融機関は、投資する余力があるなら返済をしてくれと言います。

その為、投資を認めてもらうためには投資をすることで、将来にわたって安定的に返済財源を拡

充して、いかに返済を維持継続できるかを説明することが重要です。

 

事業再生では『選択と集中』になりがちです。選択により投資CFがゼロになってしまうと、新た

な事を始める余裕はありません。

 

しかし、私は選択と集中では事業再生はできないと感じています。この処方箋はバブル崩壊時の

ものであり、将来盤石な本業がないデフレの時代では通用しません。

 

 

2.コストを削減する為にも投資が必要

原価逓減策や販管費の圧縮策を実行する為にも、戦略的な投資は必要です。

 

例えば、製造原価低減のために機械装置を導入する、設計段階から変更を行うことで原価を下げ

る、金型の作り直しにより不良率を減らす等が効果的な事も多いです。

 

営業面、販管費の削減においても、営業人数を減らすために自社サイトの高度化、SNSでの発信、

提案資料のデザイン費用、ダウンロード資料の改善など、単に営業の人員を削減して、売上も減

ってしまうのを容認するのではなく、経費を減らして利益水準を底上げするためにも、質の良い

売上のトップラインをいかにして維持するかが事業再生では重要になります。

 

打つ手は無限ですが、投資が伴ってこそ原価が減らせることは多いです。筋肉を減らすのではなく、

贅肉を減らすことが重要なのです。筋肉を増やすためには、投資という良質な栄養も欠かせないの

です。

 

 

3.リスケジュール中にもライバルはいる。競争を勝ち抜くため
に投資が必要

商売には常にライバルがいます。リスケジュールは期間3ヶ月、6ヶ月、1年程度の期間で延長を繰り

返します。その為、随時金融機関とのリスケジュール延長交渉が必要となります。

 

多くのリスケジュール企業はこの対応に四苦八苦します。結果として、ライバルは先をいきます。ラ

イバルは後ろ向きの仕事ではなく、前向きに顧客の動向を観察し、先行投資していきます。

 

リスケの会社も、厳しい競争を勝ち抜いて、顧客の支持を受け、黒字を出さなければ、返済再開は望

めません。その為には、投資CFの確保は大事です。リスケジュール更新に必死なだけの経営改善計画

書ではなく、ライバルに勝ち抜くための方策こそが、経営改善計画書に必要です。

 

事業再生に成功する為には、売上改善努力と原価改善努力の両輪が必要です。事業再生の改善活動の

中で削減し、捻出した資金を一部でも、戦略予算として確保し再投資する。戦略予算で売上や原価の

改善の為の活動をすべきです。

 

金融機関に提出する経営改善計画書に戦略予算を記載して、金融機関の支持を受ける必要があります。

このように事業再生のプロがする計画するリスケジュールは、ライバルに勝つ為のリスケ期間の過ご

し方を意識しています。

 

多くの経営改善計画書では、営業CFの80％を返済することが目安とも言われます。しかし、そのよ

うに多くの利益を返済すると、設備投資が必要な会社の場合は投資CFが枯渇してしまいます。

（できて20％だけという事になる）

 

新たな技術革新（イノベーション）にキャッチアップする事はできず、老朽化する設備を使い、故障

した際も買い替えることが困難な状況になります。投資CFの必要額は会社のステージや、業界のスピ

ード感により変わります、それを的確に金融機関に説明する事が重要です。

 

まとめ

今、得られている営業CFは過去の投資CFが生み出しているという、真っ当な理解が大切です。投資

もせずに経費削減だけで、企業の業績を回復させ、返済再開を目指すことは難しいです。ぜひ、リス

ケジュール中の投資について意識して会社を再建してください。