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会社にお金がなくなったときに気をつけたい3つのこと

2021年上半期の倒産件数は過去最低水準との事で、「よそ様の会社はそんなに頑張っているのか?

と焦った社長も多いと思います。しかしながら下半期に入り、9月10月11月と月別では過去最多

倒産件数となり12月も勢いを増しています。国の様々な支援策を使い果たした社長も増えていま

す。

 

「去年はコロナ融資が借りられたが、今年の伴走型支援融資は借りられない。」「1回、2回目は借り

れたが、3回目は借りられていない。」などの声をよく聞きます。現在は、多くの社長にとって辛

局面になっています。

 

日本市場に「リストラに手馴れている」経営者はいない

 

苦しい時には「溺者は藁をも掴む」と、なんにでも飛びついてしまいがちです。そうならないため

にも、認定事業再生士の智恵を「会社にお金がなくなったときに気をつけたい3つのこと」として

お伝え致します。

 

1.銭金の問題は、人の生き死にの問題に優先されません。

 

お金がないと死にたくなります。ですが、まずこの思考を捨て去ってください。

 

経済問題は経済問題として解決されるべきです。金のない人を道徳的に追い詰め、命を奪うまで

責め立てるべき話ではありません。

 

ビジネスの世界では、全員が成功すると言うことはあり得ません。リスクは一定の確率で顕在化

します。ある日突然、目の前で起こるのです。その為、金融機関は業として、素人にできない仕事

をプロとして会社にお金を貸しています。リスク計算ができて、貸倒引当金を積める十分な資金力

のある会社にしか金融業は営めないように法律で規制されています。

 

社長のあなたがお金を返せないことを想定はしていなかったかもしれませんが、全体のリスクとし

てあなたの貸出の分にも一定の備えがされています。

 

 

お金を貸す人は、あなたの事業モデルや成長力を自社の収益に取り込もうとして、融資をして応援

をしてくれています。相手もリスクにチャレンジし、ビジネスとして対応しています。ビジネスライ

クです。万が一、お金が返せなかったとしても、命を差し出してくれとは思っていません。経済問題

を解決する仕組みを内包しています。

 

資金繰りに苦慮するとお金のないことを社長は悩み、道徳的に自分を責め自己否定し自壊してしまう

方がいます。確かに苦しい現実は事業の未来を厳しくし、暗く思うかかもしれません。

しかし、資金ショートするまでの残された時間にできることはあるはずです。自尊心を失い、本能ま

でもが現実と向き合い戦うことを拒絶すると、その時点で終わっています。

 

私の仕事は、正しく現状認識をし、対策を考えることで、具体的に設定した目標に対して生存本能を

むき出しにしてもらう事です。まずはショック状態にある社長に立ち直っていただきます。

 

事業再生を通じて人の命の尊厳を守りたいと私は思いこの仕事をしています。

 

2.誰に協力してもらうのかよく考えて、初手から全力を尽くす

 

お金がなくて、どんなに苦しくとも、資金繰りは余裕を見て回す必要があります。借金をしてでも、

極端な話では支払いを待ってもらったとしても、運転資金を確保する必要があります。運転資金が欠

けてしまえば、打席が回ってこない打者と同じで、チャンスに挑む事もできません。

 

 

企業の存亡は、運転資金の確保に掛かっています。運転資金を割った状態で会社が生存していたとし

ても、北斗の拳で言うところの「おまえはもう死んでいる!」という状態です。

 

仕入資金や諸経費支払資金を入金を待たずに払えないという状況は、既に棺桶に片足を突っ込んでい

状態と言えます。金融機関も運転資金が毀損している会社に融資することは基本的にしません。

 

入金予定が狂えば即倒産といった、ぎりぎりの資金繰りはもってのほかです。「社長と奥さんがおかず

を減らしてなんとかする」といった根性で資金繰りをするなんてのも無理です。

 

早ければ早いほど、対策は容易で絞られた対策で良くなります。金融機関に相談をすれば良いレベルが

初期、株主や役員を巻き込むのが中期、従業員や仕入先を巻き込むのが末期的な資金繰りとなります。

 

現状認識を正しくし、手元資金の状況の厳しさを痛感すれば恥も外聞も無く、様々な関係先に協力を求

めましょう。社長という仕事は、連帯保証とセットの仕事であり、会社の破綻は個人の破綻と多くの場

合、軌を一にします。

 

その為、初手から全力で資金繰りの改善に関係者の協力を求めます。誰が協力してくれるか、どんな協

力をしてくれるかはお願いしてみないとわからないものです。その意味でも、初手から全力で可能性に

挑みます。

 

3.売上を無理に上げて問題を解決しようとしない

 

再生ポイントは減収増益手元現金を増やすテクニックでもあります。売上を上げようとすると、仕入

も先行して支出が必要になり、運転資金が増加し手元現金が減少します。

 

質の悪い、粗利の低い売上を意図的に減少させる。すると原価や売掛サイクルの中に運転資金として消

えていたお金が戻って来ます。売上向上策で再生を目指すのは、最期の力を振り絞って墓穴を掘る行為

につながりかねないのです。

 

一発逆転を目指し、儲け話に飛びついて失敗するというのはありきたりな話ではありますが、本当に多

くあります。

 

 

売上改善や原価低減が短期的に難しい場合でも、減収増益であれば素早く効き目が出ます。そして手元

現金が増えます。資金的余裕がなければ自社のコアな存在価値に絞り込み、一度縮小均衡を果たします。

事業再生はPL次第、売上ではなく利益があれば何とかなります。

 

売上を絞り込み、会社が縮小均衡によりシュリンクすると、財務バランス(ここでは借金に対する売上

規模)が崩れますが、事業再生のプロとして申し上げますが、むしろ資金繰りが維持され、未来の可能

性も広がり、再生可能性は高まります。

 

おわりに

 

信用はお金で買えません。使い古された言葉ですがそう思います。お金がなくなり信用がなくなった人

をたくさん見ましたが、そんな中でも信用され続ける人が僅かにいることも見てきました。信用はお金

のない悩みを解決する1つの道筋です。

 

お金のないときには、期せずして嘘になってしまうことが多くなります。そんな時だからこそ信用を

大事にし、嘘になってしまった現実を相手に伝え、守れる約束を交わし直す事が大事です。

 

 

ある人はお金で笑い、
ある人はお金で死にます。

 

お金によって
何をコントロールしているのか、
何をコントロールされているかに気がつけば、
窮地を脱するためのチャンスを見つけられます。
そして、そのチャンスを活かすこともできるはずです。

 

お金により時間の概念をコントロールしています。体感的に理解し意識して、操れるかがお金のないと

いう危機を脱するポイントだと私は思います。

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