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誰に相談したら良い?資金繰り表は自分で作るしかない。
資金繰りの悩みは中小企業経営と切っても切れません。
また、資金繰りの悩みは相談相手がいません。
相談相手のいない悩みは問題を深刻化します。
迂闊に相談すると大変です。
従業員
→ うちの会社は潰れるのではないかと噂が飛び交い与信不安、離職者も。
税理士
→ そこは社長が何とかしてくれないと、一般論。
銀行
→ 赤字補填資金は融資できませんよ。回収姿勢を強め、担保は無いかと質問。
いわゆる税務会計と資金繰りは違うため、税理士や金融機関の人間ですら
資金繰りを良く理解していない場合があります。
商流や足下の売上状況を把握しないと正確な資金繰りは計算できないため、
外部の人間が予想する資金繰り表というのは、正確にならない、間違い多い資料になってしまいます。
いくらお金があれば楽になれる?
では、いくら現金があったら社長は枕を高くして眠れるのでしょうか?
多ければ多いほど良いというのが正解ではありますが、
所要資金運転資金がいくらあれば会社が問題無く回るかというものを算出する計算式があります。
(A) 売掛金回転期間
A=売掛金残高÷平均月商
(B) 受取手形回転期間
B=受取手形残高÷平均月商
(C) 在庫残高回転期間
C=在庫残高÷平均月商
(D) 買掛金回転期間
D=買掛金残高÷平均月商
(E) 支払手形回転期間
E=支払手形残高÷平均月商
上記5つを算出し、
所用運転資金=平均月商×{A+B+C-(D+E)}で求められます。
理論的に求められる所用運転資金は上記の通りですが、小職の経験値としては、
仕入資金支払、従業員給料支払が会社の1ヶ月に出金する資金の80%~90%近くを占める会社が多いです。
(営業利益率10%だと想定すれば近い数値になる)
そのため、毎月の売上が安定しない、赤字が続く、納税月と重なった
などの事があると資金繰りが悪化します。
意識してコントロールしないと仕入支払や買掛金は定期的に支出される一方で、
売掛金の回収はないと言うことも起こりえるため、どんどん資金繰りが悪化します。
資金繰り悪化が明確になるのは、所要運転資金が足りなくなった後です。
所要運転資金より現預金が少なくなったらどうなる?
手持ち現金 < (単月の仕入資金+単月の従業員給料)
となっている会社は、売上があっても資金繰りは相当苦しいです。
わかりやすく言うと、入金を待たないと支払ができない状況であると言うことです。
この状態になりますと、資金繰り表は
「月繰り」(月次レベルの管理)から「日繰り」(日々の管理)が必要になり
毎日の入出金を見る必要があります。
ここまで来ますと、金融機関や税理士など外部の人手は到底わからず、管理はしてくれません。
金融機関は顧客の預金平残はチェックしますが、
状況が悪いことを指摘すると「貸せない会社から融資を求められる」・
「返済をとめるリスケジュールの対応を求められる」等の可能性が高く
状況悪化を親切に指摘する金融機関はめずらしいです。
月商の3ヶ月分ほどの現金残があれば、
大まかな目安としても、
資金繰りを気にせず安心できる可能性があります。
それでもアバウトな管理は予想外の事態を生みます。
資金繰り表は上述の通り、外部の人間には正確に作れませんので、
ぜひ自社にて資金繰り表を作り、日々のアップデートをしながら管理しましょう。
鳥倉に依頼がある場合は、内部に精通するだけ学習し精緻なものを作成します。
資金繰り表を作ると資金が足りなくなる未来が明確に見えて辛いとおっしゃる方もいます。
資金繰り表が現実なのです。資金繰り表から目を背けてはいけません。
どんなに辛くとも、現実を見つめ、現実と戦わなくてはいけません。
資金繰り表が無い会社は、漠然とした不安から逃れられず社長の頭は資金繰りに占拠されます。
書き記す事で問題を一般化、単なる一つのタスクとして客観視でき、社長の頭から取り出す事ができます。
現実から目を背けても預金残高は正直です。
運転資金を確保する為、支払を行うためや、支払を待ってもらうために、
その場をやり過ごそうと資金繰り表と乖離した計画や約束をしても何の意味がありません。
1回の猶予なら検討してくれる相手も、二度三度と泥縄式に根拠無く
「とりあえず待って下さい」依頼をすれば見捨てられます。
得意先が恐ろしい敵(債権回収を猛烈にする人)になる瞬間です。
手元現預金が多いから大丈夫?
手元現預金が多いので返済猶予リスケジュールの申込みは、
当分先だと考えている経営者の方も多いです。
鳥倉はご質問します
「“多い”の根拠は何ですか?」
「当分先はいつですか?」と。
所要運転資金を割っているのに現金残高が“多い”と思っている社長もいらっしゃいます。
会社と個人の財布の感覚は違います。
1億円あったとしても会社の財務を支える上では、
現預金が少ないと対策を打たなくてはいけないことも当然あります。
そのような社長にはさらに伺います。
1.月次の収支が合わず赤字を垂れ流す状態ではありませんか?
2.設備投資や、修繕計画を無視して返済していませんか?
3.租税、社会保険、仕入支払などを未払にして資金繰りを回していませんか?
1.いくら手元に現金があっても商売の採算が合っていなければ危険です。
2.事業を継続していくという視点が欠けて、足下の資金繰りに必死になるだけではいけません。
3.資金繰りが回っているのではなく、強引に回すのは危険です。
リスケジュールという言葉や、金融円滑化という言葉が社会的に認知されても、
銀行員が「社長資金繰りが大変そうですね、何ならリスケしましょうか?」
と提案をしてきてくれるケースは希有です。
コロナ禍もあり、コロナ対応融資で一息ついている会社も多いです。
コロナ融資は“赤字補填資金”が融資の根拠となる希有な融資でした。
業況が悪い会社は、ジリジリと残高を減らし再度融資を受ける必要がでている会社も多いです。
2回目の融資が出るか否かは、
生き残りに必要な努力(経費削減や構造改革)をしているかで評価されます。
赤字補填資金でも借りられる可能性があると気楽に申し込めば、いつか見放されます。
手元現預金が多くても危ない会社はあります。
こんなに現金を持っているのだから、事業の構造改革はまだ先で良い、
ましてやリスケなんて申し込めない、という固定概念は危険です。
リスケに限らず、事業再生に舵を切るタイミングは経営者として間違わないようにしたいものです。
ぜひ、事業再生には事業再生の専門家へのご相談をお試し下さい。
私は資金繰りの悩みが共有できるコンサルタントです。