鳥倉の事業再生Blog 経営者の人生にフォーカスした事業再生を 鳥倉の事業再生Blog 経営者の人生にフォーカスした事業再生を

社長自身では事業再生ができない理由

知っているけどできない、なるべくやりたくないのが事業再生

リストラは企業存続の最終手段

 

事業再生を社長自らできる事はありません。私は断言致します。それはなぜか?という事につい

てご説明したいと思います。問題解決には現状認識が大事だと言われますが、社長だって自らの

置かれた立場や状況、そして問題点を知っているのです。知っているけれどもできない、それが

事業再生なのです。

 

経営者の能力の有る無しだけで、事業再生に陥ったりする事はありません。国際関係、社会情勢、

政府の方針転換、法律の改正、原価の高騰、景気循環など、ありとあらゆる外部環境の影響を受け

るのが会社経営です。会社経営は挑まれる方の優劣だけで決まるほど単純ではありません。

 

社長は忙しく、考える事が山のようにある生き物です。事業再生という領域について普段から勉強

しておく暇などないのです。“転ばぬ先の杖”を人は用意できない生き物です。その為、社長が事

再生に必要な解決策を正確に理解していることはありません。

 

また、理解した上で正しく決断ができるか?と言う点も難しいです、社長を決断できなくさせてい

要因が必ずあります。外部環境以外にも内部の課題も様々にあります、取引先の問題、会社の業績

、資金繰り問題、人事、後継者問題、金融機関対応、家族問題、社長自身の健康状況など、事業再生

の原因となる要素が、複合的に押し寄せ“あちらを立てればこちらが立たない”というコンフリクト

た状態になります攻め手に強い、攻め手には自信がある社長も、守勢に回り対応が難しくなってい

る事が多くあります。

 

後ろ向きな仕事と前向きな仕事を同時にこなせるほど、人間は器用にできていません。このような苦

境に社長が陥ったとき、事業再生に真摯に向き合うことはめずらしいです。事業再生の専門家は少な

く、身近に相談できる相手がいないことは多いです。相談相手がいないと、一発逆転に掛けたくなる

のが経営者という生き物です。窮地に陥った時、なぜ博打のような作戦に賭けてしまうのでしょうか。

 

それは、予想するだけでも過酷な事業再生という撤退戦を戦わなくて済ませたい為だと感じています。

一発逆転でお金が手に入れば、やり直せると考える社長は多いです。しかし、これが上手くいかない。

一時的な苦境は局地戦での敗北に過ぎません。ここでやり直せば、立て直せるのです。一旦負けを認

、撤退戦を行う事で、窮地を開く事は多くあります。ですが社長は撤退戦が苦手です。我慢や謝罪

必要になるからです。また自分自身だけでコントロールできることだけでなくなり、苦労や困難を

多くの関係者と分かち合う必要があるからです。

 

社長が抱える申し訳なさと、知識のなさで債権者と渡り合うことは不可能。

通常のM&Aとは異なる、小規模M&Aについて

 

事業再生が必要になると言うことは、既に資金が足りず約束通りには支払えない未来が近づいて

いるか、そのような問題が現実のものとなっています。不寛容な日本社会では事業の失敗を道徳

的問題として議論します。場合によっては、「借金が返せないという経済的事象に対して、約束

を守らない不道徳な人間」と問題をすり替え、非難され、糺弾されます。

 

これが社長にとって精神的なダメージとなるのです。逃げなければそこまで非難される必要は無

いはずなのです。売上利益がないことは事実、必要な支払いができていないことも事実、借金が

返せないのも事実、だけれでも「人としてどうかしている」「道徳に反している」と非難される

のは辛いのです。会社の金を巡る課題は、経済問題であり、経営問題なのですが道徳論で人格批

判を展開されると救いがありません。

 

資金繰りで悩みすぎた社長は、消耗し、現実と向き合うことが困難になります。資金繰りの悩みは

、金の問題であり、自分自身で解決できない問題なのです。悩めば、考えれば解決する種類の問題

でないことが多いです。どうしようもない、受け止めきれない、問題を悩み続けるのは危険です。

 

社長の仕事は決断ですが、追い込まれた社長が心身共に健康な状態を保つことは難しいです。心身

ともに充実してなければ、経営に必要な判断をタイムリーにすることができません。結果として会

社は、ますます上手く進まなくなり負のスパイラルに陥ります。

 

お金が返せなくなると、債権者(金融機関など)から、社長は債務者と呼ばれるようになります。

ここまで来ると、社長は自殺も選択肢に入れ始めます、道徳的に間違っていると自分自身に刷り込

むようになり、自分が存在してはいけないと自分で責めるようになってしまいます。負のスパイラ

ルと向き合う正しい考え方、向き合いがあるのです。それは自分自身を責めている、不道徳だと

い込んでいる社長自身には難しいことなのです。

 

債権者と債務者の間には圧倒的な力の差があります。生殺与奪も自由になり得る、そのプレッシャ

は過酷なものです。法律違反はいけませんが、法律違反と契約当事者間の約定違反は意味が異な

ります。借金が返せなくなると牢屋に入れられるという法律はありません。常識、道徳の狹間に経

済的苦境を生き抜くヒントがあります。追い込まれても死を覚悟する必要はありません。社長が本

来望む生き方ではないかもしれませんが、生き抜きましょう。状況は最悪かも知れませんが、恩讐

を越えて信頼関係の再構築を始めましょう。

 

優秀な経営者でも一人二役はできない。

 

事業再生のため、会社を改善するにはそれに打ち込む膨大な時間が必要です。しかし一方で、

様々な利害関係者(金融機関、仕入先、株主、役員、従業員)に現状を数値で示し理解を求め

る活動も必要になるのです。

 

一生懸命に社長が業績予想について、数値ではなく山勘を働かせ熱意を伝えても金融機関は1ミ

リも動いてくれません。計数計画を書面で提出するというドキュメント・コミュニケーション

が必要になります。足下の現実は厳しく、上手くいかない現実を共有しているにもかかわらず、

共通の未来を共に信じる事ができる計画が必要なのです。

 

財務戦略が上手くて社長になった人を私は知りません。社長の強みは専門知識や営業力です。

のに、財務戦略についてドキュメント・コミュニケーションをしなくてはならないのです。会社

を改善する活動も必要な中、不得手な書類作りに取り組んで会社が良くなるわけありません。

事業再生は、計画と実行が車の両輪ですが、片輪である計画を事業再生の専門家に任せることを

躊躇してはいけません。短期勝負の事業再生で不得意を得意にしている時間はありません。

 

会社の改善活動においてもサポート役は必須なのです。ステークホルダーも過去の経緯や、社長

の発言を知っています。緊急事態においては、朝令暮改はやむを得ませんし、前言撤回も必要

なります。ですが社長自身が言うと「どの口で言ってるんだ!」「昨日までのと真逆の事を言っ

ている」「失敗すると進言したのに聞かれなかった」と批判されます。

 

社長だからどんな組織改革もできるというわけでもありません。従業員が大量退職すると、単に

頭数を雇い直せば良いという話だけでなく、従前の体制、従来の売上、ノウハウの必要なあらゆ

る活動が元に戻るまで、膨大な時間と資金を失います。そんなことは事業再生の最中にはやって

いられないのです。

 

「誰が育てたと思ってるんだ!」「おまえにいくら年収払っているとおもってるんだ!」「嫌な

やつは辞めろ」「他に行ってもこんな待遇の良い会社はないぞ」と従業員の批判を力技で封じる

だけでは、円滑な組織改革は達成できません。また、社長自身が腹心に腹話術的に説明させたり、

二人羽織的に示唆しながら話をしていても結果は同じで上手くいきません。

 

鳥倉が入る場合は、事業再生のプロフェッショナルとしての信用が基盤としてあるため、「旧弊が

改められるかもしれない」「社長に直接諫言せずに済む」「見捨てられていた部分に光が当たるか

もしれない」と従業員の大半が協力してくれます。あまりに関係性が濃密な社長と従業員の関係性

だけで事業再生に挑もうとすると、過去のしがらみが心情のもつれとなり上手く進まないのです。

 

視点を変えた協力者の存在は事業再生に不可欠です。事業再生を成功させる秘訣は巻き込む人間を

多くすることです。社内外、仕入先、客先関係なくチームを作り、味方を増やすことです。苦境に

あえぐ社長は、根回しが雑になる事が多いです。根回しも鳥倉はご支援しています。

 

事業再生は不条理の中から一閃の合理性を紡ぎだす仕事。

 

事業再生の専門家と伴走することが、難局を乗り切る為に最も効率的であり、的確に課題を解決

できる、ことがイメージして頂けたでしょうか。

 

時に外科医は血に驚きません。外科医は外科手術で憐憫の余地なく切ります。そんな外科医も自分

自身は手術しませんし、自分の家族の手術もしません。日頃、専門技術を用いて、冷静に判断でき

る外科医も、身内の生命の危機に際して、冷徹にリスクを見極め、ブレずにいられるか、動揺せず

にいられるかわからないのです。

 

事業再生士は倒産を恐れません。会社の業績は常に変化するものです。会社の容態が急変しても

狼狽えることはありません。常に状況に応じた最善策をご提案することに手慣れています。冷徹

にリスクを見極め、症状に応じて必要な施策を打ちます。社長のQOLが上がることをいつも大切

にしています。

 

鳥倉は事業再生に関与し17年が経ちました。日々、事業再生と向き合う職業人としての人生です。

最新の実例や、法律の変化、社会の仕組みの変化などを踏まえて、社長に合わせた再生手法をご

提案しています。「再生手法はこれしかありません!」という提案を鳥倉がする事はありません。

社長が決断できるよう最善策を一緒に模索します。

 

社長自身では、できない事業再生です。社長の良きパートナーとなれるよう、日々事業再生の腕を

上げるべく鳥倉も努力をしています。まずは無料面談にてご相談ください。

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